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皆さん、アスタキサンチンの名付け親をご存知ですか? それは、ノーベル化学賞受賞者のリヒャルト・クーン(Richard Kuhn)です。彼は、1938年にロブスターの甲羅と卵から赤い色素を取り出しました。アスタキサンチンはβ-カロテンやリコペンと同じカロテノイドの一種です。カロテノイドはカロテンとキサントフィルに分類されますが、アスタキサンチンはキサントフィルに属していたので、ロブスターの学名のAstacus gammarusとキサントフィルxanthophyllからアスタキサンチンAstaxanthinと名付けたのです。はじめて発見した生物や物質に名前を付けるのはさぞかし楽しかったでしょう。ちなみにアスタキサンチンの本名(IUPAC国際名)は3,3'-β,β-Carotene-4,4'-dioneと言います。そりゃ他の名前(慣用名)を付けたくなりますね。
皆さん、アスタキサンチンの年齢をご存知ですか?約30億年前に地球上に生命が誕生してから光合成をする生物が生まれ、空気中に酸素が多くなりました。そこで諸刃の刃である酸素の害から生物の身を守るためにアスタキサンチンは作り上げられたのです。
生体内では、β-カロテンから最終的にアスタキサンチンが作られます。カロテノイドの中でアスタキサンチンが生合経路の終着駅であることを考えると、アスタキサンチンは“究極の生体内防御物質”だと言えるでしょう。こんな貴重な地球からの贈り物を私達が利用しない手はありません。人類の歴史は約15万年、日本人の歴史は約1万年ですから、太古の昔からアスタキサンチンは地球上の生物を守り続けているのですね。
アスタキサンチン物語2ではアスタキサンチンが活性酸素から私たちの身体を守る“守り神”であることをお話しましたが、今回はもう一つの重要な働きをご紹介します。それはアスタキサンチンの“色”です。ご存知のように赤橙色をしていますが、これがある種の動物では異性の気を引く重要な“色気”を表しているのです。いわゆる婚姻色というものです。魚のウグイやオイカワなどは繁殖期になると赤く色付きます。エサに含まれている黄色カロテノイドをアスタキサンチンに変えて自分なりの美しさを創作するのです。鶏の鶏冠の赤色の一部もアスタキサンチンで、派手で濃い方がオスの強さを示します。子孫繁殖には強い遺伝子を相続する必要がありその象徴にアスタキサンチンが使われているのです。私たち人間は残念ながらアスタキサンチンを摂ってもどこも赤くなりません…が、より元気になって内面からの活力をアピールしましょう。きっと、より魅力的になるはずです。
アスタキサンチンの活性酸素と戦う力はビタミンEの約1000倍、コエンザイムQ10の約800倍、ビタミンCにいたっては約6000倍とも言われています。抗酸化物質が単位時間当たりにどのくらいの活性酸素を元の酸素に戻すことができるかを測った結果です。
通常は活性酸素と戦うと姿を変えてしまってその力を失うのですが、アスタキサンチンは何回戦ってもその姿を維持でき、しかも瞬時に戦いを終えることができる優れものなのです。アスタキサンチンの1日目安量は6mgと言われていますが、そんな少量なのはこのためです。ハチに例えると、一般的に知られている抗酸化物質は一度ハリを使うと死んでしまうミツバチ、アスタキサンチンは何度もハリを使うことのできるスズメバチといったところでしょうか。でも体内に取り込まれたアスタキサンチンは私達が毎日食事をしないといけないようにそう長くは居てくれません。小まめな摂取と継続が大事です。連射速射のスズメバチ「アスタキサンチン」で活性酸素から身を守りましょう。
アスタキサンチン物語4ではアスタキサンチンがスズメバチのように何回でも姿を変えずに活性酸素と戦うことができることを紹介しましたが、もう一つ、アスタキサンチンには重要な特徴があります。それは、活性酸素と戦う“場”です。
私達の身体は60兆個もの細胞からできています。その細胞は主に細胞膜、細胞質(ミトコンドリアなどの細胞内小器官を含む)、核(遺伝子であるDNAを含む)から成っていますが、細胞内外を立て分け、細胞を守り、外側からの情報を細胞内に伝える細胞膜は私達が生命を維持するために非常に重要な役割を担っています。細胞膜は脂質二重膜と呼ばれる構造をとっていて、石鹸のような性質をもっています。油に溶ける部分を内部に、水に溶ける部分を細胞の外側と内側に向けて整然と並んでいるのです。
通常の抗酸化物質は細胞の外側、細胞膜の内部、細胞質や核などに存在して活性酸素と戦っているのですが、アスタキサンチンは細胞膜を縦貫する形をとることができ、細胞膜の内部だけでなく、細胞の外側と内側の境界域において活性酸素の攻撃から細胞を守ります。外界との最初の“場”である細胞の表面でスズメバチの働きができるのはアスタキサンチンだけです。それはアスタキサンチン自身が、油と水に溶ける両方の性質を併せ持っているからなのです。
カエルなどの両生類は、幼生の時にえら呼吸、成体になって肺呼吸をしますが、アスタキサンチンはえら呼吸も肺呼吸も同時にできる「両性類」といったところでしょうか。







